それでも選挙に行く理由
2,090円(税込)

■著者: アダム・プシェヴォスキ
■翻訳: 粕谷 祐子、山田 安珠
■出版社: 白水社


【内容紹介】
選挙とは「紙でできた石つぶて」である。

選挙は、民主主義という統治形態において必要不可欠な制度である。しかし一般市民にとっては、選挙で選ばれた政治家や政府、さらにはそれらのもとで立案・実施される政策に失望することが日常茶飯となっている。
本書では、選挙の思想的背景、歴史的な発展経緯、世界各国での選挙政治の比較などを通じて、なぜ選挙が落胆につながるのかが明らかにされる。

政治学研究の蓄積が示すところによれば、選挙は、国民の多くが望ましいと思う政策をもたらすことはほとんどなく、経済成長や経済格差の是正にも効果がなく、また、有権者が政府を効果的にコントロールするうえでも役に立たない。

それでも選挙は、ある程度競合的に行なわれた場合、争いごとを平和裡に解決するという役割を持つがゆえに重要である。

著者のプシェヴォスキは、長年にわたり選挙および民主主義に関する実証研究を世界的に牽引してきた、比較政治学の重鎮だ。

さまざまな理想論を排除し、選挙の本質は暴力をともなう紛争や対立を回避するところにあるという本書の結論は、落胆する多くの市民を励ますに違いない。

【著者プロフィール】
アダム・プシェヴォスキ
1940年生まれ。ポーランド出身の政治学者。専門は、政治経済学、政治体制論、民主化研究。ワルシャワ大学卒業、1966年にノースウェスタン大学で博士号取得。ポーランド科学アカデミー研究員、ワシントン大学准教授、シカゴ大学教授を経て、現在、ニューヨーク大学政治学部教授。1991年にアメリカ芸術科学アカデミーの会員に選ばれ、2010年には「ヨハン・スクデ政治学賞」を受賞。


粕谷 祐子(かすや・ゆうこ)
1968年生まれ。1991年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業、1996年、東京大学法学政治学研究科博士課程単位取得退学、2005年、カリフォルニア大学サンディエゴ校で博士号取得。現在、慶應義塾大学法学部政治学科教授。専門は比較政治学、政治体制変動論、政治制度論、東南アジア政治。主な著作に『比較政治学』(ミネルヴァ書房、2014年)、Presidential Bandwagon: Parties and Party Systems in the Philippines (Keio University Press, 2008)、翻訳書にA・レイプハルト『民主主義 対 民主主義ー多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究』(菊池啓一と共訳、勁草書房、2014年)などがある。


山田 安珠(やまだ・あんじゅ)
1993年生まれ。2016年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業、2018年、東京大学公共政策大学院公共管理コース卒業、公共政策修士 (専門職) 取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻相関社会科学コース後期博士課程およびエバーハルト・カール大学テュービンゲン経済・社会科学部政治学科後期博士課程在学中。研究の関心は福祉国家と家族政策の変化、公共政策の比較分析、地方自治。

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